太陽はりんごで
満月のまえのすこし歪な月は皮をむいたりんごだって
あなたは言った
八百屋さんで
重くて赤くていい匂いのりんごをひとつ買って
そのままかぶりついて全部食べたあとに
おおきすぎて気持ち悪くなっちゃったって笑った
ちいさなりんごがあたりまえの国で育ったあなた
いつもうるさいくらいに喋るくせに
なにも言わずに部屋をでて故郷に帰っていった
あなたがいなくなってがらんとした部屋の
まっしろな壁いっぱいに
真っ赤なりんごが描いてあった
りんごがくだもののなかでいちばん好きだと言ってた
あなたのことを想いながら
今日もわたしは歪で満月になれないままのりんごのしたで眠るのです