ひとつ息を吐けば
立ち上る白
たいして温まりもしないのに
赤くなった指先へ息をかける
黄金色の月明かりが
すれ違う恋人たちの顔を照らす
皆一様に幸せそうだ
私の心は冷めていく
虚しさだけが支配していく
浮かれたクリスマス・ソングを遮るように
お気に入りの青いヘッドフォンをした
流れるは未成熟な林檎
私の世界に色が戻ってくる
街を彩るイルミネーション
しろ あか きいろ あお
そして、みどり
赤のコスチュームを見に纏った女性に
元来サンタは緑だぞと心の中でぼやきながら
目を閉じて澄んだ空気を目一杯吸った
マフラーの下で微笑む
これが私の「幸せ」だ
そっとヘッドフォンを外すと
サンタクロースの足音が聞こえたような気がした