白い吐息が流れては消えてゆく街 指先にほんの少し火を灯して 雑踏のなかその背を探している どこにもいないその姿を 蝋燭がただひとつ 大きく揺らめいた追憶の影 誰もかも静まった夜色に もう一度虹彩の色を映す 今夜はもう瞼をとじて 冷たい毛布に弔って ねこのぬいぐるみが欲しい 可愛らしいねこのぬいぐるみを たったひとつの贈り物 また明日目が覚めてしまうのならば 蝋燭が消えてしまうまで ほんの少しだけ夢を見ていたい