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サーカス小屋    #玉乗りのグレース・ケリー

暖かい拍手、なんて、うそだった。
「失敗しても一生懸命やれば、大丈夫」
そう言う彼女たちは、みんな、失敗を知らなかった。
「失敗を怖がるな」なんていっても、失敗を恐れなければ
あの、糸をピンと張りつめたような緊張感は、味わえない。
固唾をのんで見守る観客
古ぼけたテントの外の闇
私だけを照らす一筋の光
それらが集まって初めて、私は「玉乗りのグレース・ケリー」になれる。
本物のシンデレラと呼ばれるグレース・ケリー。
彼女は失敗を恐れていたのだろうか。

とにかく。
私は、今を生きるだけ。
ほら、拍手が聞こえる。
ただ、胸を張って玉の上で美しく踊ればいい。

天から差し込むスポットライトを浴びて。

  • ポエムではない
  • 小説でもない
  • 続くかも
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