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サーカス小屋  #猛獣使いのアンデルセン

もう手の届く距離にあるのに、手を伸ばせなかった。重い鉄の輪がはめられているように、指一本動かせない。腕を引きちぎって、口にくわえてでも手に入れたいと思った、あの栄光。一番になるには、ライバルたちを蹴落とし、それを踏んででも優雅に歩かなければいけない。
 トップに立つことは、決して容易ではない。立ち続けるのは、もっと難しい。そう思っていたけれど。「トップ」というステージに立って分かった。猛獣使いを目指す少女は星の数ほどいる。その中で「猛獣使いのアンデルセン」を襲名できるのは、たった一人。その「たった一人」になればいいのだ。1度そのステージに立てば、スポットライトの方が私を追ってくれる。私はただ、獣たちと戯れて、悲鳴のような歓声を浴びればいい。
 スポットライトの下でなら、私の最も美しい姿で死ねる。それが、今の目標だと思った。

口笛と拍手が近づいてくる。

  • ポエムではない
  • 小説でもない
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