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緋い魔女 Part5

「…ていうか、何で報酬に”俺”を要求した?」
”使い魔”からの質問に、少女はぴた、と足を止める。
「やっぱり有名な魔術師の”最高傑作”だから? それとも…」
「別に、お前なんか欲しくなかったけど?」
想像の斜め上の発言に、…はぁ⁈と”使い魔”は叫んだ。
「大体、私に何か依頼してくる魔術師はねぇ、単純に自分の手元では手に負えない面倒ごとを、今話題の”緋い魔女”に解決してもらおうって考えてるのよ。魔術の世界で”神童”だの”魔女”だのって呼ばれてる魔術師が、自分の元に来るだけで立派な自慢にもなるし」
少女はくるりと振り向く。
「この間も1つ依頼を引き受けたのにまた依頼。しかも今度は面倒くさそうな精霊退治。だから、依頼を引き受ける代わりに報酬で、そこに”置いてあるだけ”になっている使い魔が欲しいって言ったら、依頼のこと考え直してくれるかしらって思っただけなんだけどね」
「でも実際、あの男はお前に退治を依頼したじゃねぇか」
”使い魔”は真顔で言う。
少女は、そうねぇ、と呟いてさらに続けた。
「…でも、少し気になっていたのよ。遠い昔、”孤高の天才”と謳われた魔術師の”最高傑作”がどんなものなのか。だから別に、お試しでも”マスター”やっても良いって思ってたわ」
…ふぅん、と”使い魔”は返す。
「まぁ、お前を報酬にしてもしなくても、あの依頼を受けるならお前を借りるつもりでいたわよ…その逆さ十字の耳飾りを見た時から」
少女はそう言ってにやりと笑った。
”使い魔”は、あのクソ野郎…と腹立たしげにつぶやいた。
その様子を見て少女はクスクスと笑う。
「造った人のことをそんなにひどく言う使い魔なんて初めて見たわ…まぁあんな悪趣味な名前を付けられたらねぇ」
その言葉を聞いた”使い魔”は少女を強めに睨みつけた。

  • 緋い魔女
  • 相変わらず趣味が強いなぁ
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