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ホームにて

本当に、爪の美しい人でした。
お世辞にも美人とは言い難い人で
日に焼けて茶色がかった髪も
艶なんてありませんでしたが
爪だけは白く光っていました。
あかぎれに絆創膏を貼った
腫れぼったい短い指の先で
静かに特等席に腰掛けている
白い爪は
醜い戦場に降り注ぐ美しい粉雪のように
より一層輝きを増すのでした。
駅のホームの寂れたベンチで
絵の具のついた手に筆を握り
画用紙に私を描き上げてくれました。
その時
ふと気がついたのです。
貴女はこんなにも
目が美しい人でしたか。

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