頭脳もなければ手に職もないぼんくらはむかしの農村部の中卒みたいに単純な労働を求めて外に出ていくしかない。これから二十年もしたら日本国内にそんな単純労働はなくなってしまうだろうからそいつらは外国に出て行くことになる。結果日本の人口は増えない。犬猫みたいにつがって子ども作ればいいってもんじゃない。シンギュラリティの世のなかになってそんなに労働力いらなくなるって予測されてるのに人口減を憂う。統合失調症としか思えない。
政治家のブログにコメントを書き込んで送信した直後、背後に気配を感じた。振り返ると、若い女が全裸で立っていた。セキュリティが万全なのが売りのマンションなのに。まったくどうなってるんだ。
女は全裸であるにもかかわらず、恥じる様子はまったくなかった。むしろ裸でいることのほうが当たり前のような顔で俺を見下ろしていた。
「君は誰だ」
「あなたの孫です」
無表情で女はこたえた。
「俺は独身で子どもはいない。よって孫もいない」
「わたしは未来から来たのです」
「納得。なんで裸なの?」
「時間旅行者はみんなこうです。衣服は時空を超えられないので」
「へー。で、何? 若いころのおじいちゃんに会いたかったとか?」
「仕事を求めて来ました。未来は超就職難なので」
未来の若者は苦労してるんだね。