「高いあの木に登ったら見えるかな」
僕の住んでる街はこう呼ばれてる
【眠らない街】
賑やかそうじゃんとか言われるけど
そんな賑やかで派手な街だから付いた名じゃない
この街には星も月もないんだ
見渡すかぎり続く真っ暗闇と
少しだけ届いてくるわずかな月の光だけ
街のあかりが消えた瞬間何も見えなくなるだろうね
だからこの街はずっとあかりが付いてる
この街に住んでる子供は決まってみんなこう言う
「星がみたい」
そして大人たちはこう言う
「将来偉くなれば見れるからね」
って
ここは星の光なんてないわずかばりの月の光と
眩しい街のあかりだけで365日を何度も刻んで来た
そんな街なんだ
あ、申し遅れました僕はこの物語の主人公です
名前? あーそうだなー
「悠」かな
僕はこの街に住んでからまだ1度も星を見た事がないんだ
生まれてから14年も星空を知らない
だからね
今から星を見に行くんだ〜
え? どっから見えるか知ってるのって?
知らないよ 全然 というか生まれてから
外に出たことがないんだ そういう病気なんだって
名前は知らないんだけどさ
でこの前お医者さんにもう死んじゃうって言われたから
星空の下で死にたいって言ったら
すごく怒られたんだ
僕今まで怒られたことなんて1回もなかったのに
怖かったよ〜
だからね 黙って家を出て行こうと思ってるんだ
外に出ちゃ行けない病気だろって?
どうせ死んじゃうんだったらベットの上で大人しくしてるよりやりたいことしたいじゃない
だからね
冒険を始めることが出来るのか
って言う冒険をまずはしてみようと思うよ
それじゃそろそろ行くね
また会えたらいいね バイバイ