授業中である。
静粛なのは良い事だと僕らは信じて疑わない。
エックスはやはり、Yには成り得ない。大量の絵図と講釈がそれを証明するのだからして、今日のお弁当はやはりハンバーグということがわかる。
匂いから分かる。そして矢野真由美の二の腕が震える。外はどしゃ降りの雨。SNSでは校舎裏の乱闘に次ぐ乱闘、そして転じた乱痴気騒ぎに沸き立っている。
革靴を履いてきてしまった。日々精進の心掛けにより磨かれた床には、垂れ流しのスキ/キライが炙り出しのように浮かび上がっている。自棄になり、教室は引き伸ばされていつの日か盛大な断絶を迎えると良い、と考える。良い訳はない、嗚呼、ダンディズムなのさ。許しておくれよ。矢野真由美は呆れ果てて反り返る。
むっとした教室で僕にどうしろと言うのだ。
周囲の女子生徒数人分の唇が揺れる。
いつかはすべて解決されるのさ。そう言って笑った気がした。いつまでも眠くならないような、いつからか寒くなるような、浅はかさで身悶えた。