ひとり、早上がりの現場を惜しみながら帰る。 雨降りのホームからは、見慣れない街のパノラマ。 さっきから繰り返しの、鳥のさえずりと 何処かで聞いたメロディと、ベルとブザーとアナウンスと、 バラスト軌道に弾ける雨音がステレオで こんな日に限って忘れた読みかけの文庫本が恋しくて、 いっそこのまま、日も暮れてしまえ。 待ちぼうけ、電車は未だ見えない。
読みかけの文庫本が恋しくなる、そういうときに限って忘れてしまうんですよね。