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緋い魔女 Part 7-Ⅰ

グレートヒェンの軽く他人を馬鹿にするような物言いに、ナツィは思わずそっぽを向いた。
「…やな奴」
「何か言って?」
グレートヒェンは笑顔で首を傾げる。
だがナツィは黙りこくっていた。
「…ま、ここまで痕跡が見当たらないのはおかしいんだけどね」
立ち止まっていたグレートヒェンはまた歩き出す。
「人間が住んでる所には出現した痕跡があるのに、隠れていそうな森の中にはそれといった跡がない…まぁ、私が見つけられていないだけかもしれないけど」
「…痕跡が薄すぎて分からない、とか?」
そうかもしれないわね、とグレートヒェンはうなずく。
「その場に留まっている間に残る魔力がやけに少ないとか…もしかしたら、人工物の可能性もあるわね。魔力がその場に残りにくいモノは人工精霊ぐらいしかいない」
そう言い切ってグレートヒェンは立ち止まる。

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