爪先を穿つ雨雫 泣きたくなるような石畳と雨の匂い 雑踏で名前を呼ばれたような気がして 振り向いてしまうような ほんの刹那夢を見せてあげる 楽しい夢でもとびっきりの悪夢でも ほんの刹那夢を見せてあげる この上なく安っぽいその夢を 雨に打たれて燃え尽きて 灰も残らず左様なら 次には忘れてしまえるほどの ほんの刹那夢を見せてあげる