どこからか鐘の音が。 僕にしか聞こえない鐘の音 自然と足は「そこ」へ向かう かつて輝いていた「あの」場所へ 砂利を含んだ泥を踏む 白いスニーカーに飛ぶしぶき 彼が語った「あの」場所は きっと近づいてきているはずで 彼女と歩いた「その」場所は 少しずつ少しずつ 離れていく 離れたくないと 行きたくないと 僕はだらしなく頬をぬらす はやく行こうと 急がなければと 僕はその足を休めない 嗚呼 どこからか鐘の音が。