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生徒のキズナ物語 叫べ#9

あ、純平から電話だ。

「もしもし」
「綾?あのさ、やっぱり福岡に行くのやめるわ。」
「え……なんで?」
「いや、会いたい気持ちは山々なんだけど、冷静に考えて俺も綾も何かあったら大変だし。親も俺らが久し振りに会うことを喜んでたけど、少し心配してて…」
「まあ、そうだよね…」
「本当にゴメン!もっと早いうちに言っておけば…」
「いいよ。私たちのことを考えてくれてありがとう。会えなくても配信は見られるし。」
「そうだな。じゃあ、また明日。」

言えたけど、やっぱり悔しい。綾に会えないこともだけど、それによって綾を悲しませたことが、なにより悔しい。きっと今頃、自分から誘ったのになんで断るの?とか思ってるだろうな……



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純平は来なかった。少し期待してたけど。

キズナ感謝祭が始まった。授業パートで笑って、ライブパートで叫んで、最高の時間はあっという間に過ぎていった。気付いたら涙が出ていた。とーやま校長、本当に退任するんだな…

しばらくして、純平から電話が掛かってきた。
「なあ、絆って何なんだろうな。」
「なんだろうね。分からないけど、離れていても分かりあえる、みたいな。」
「なるほど。それなら、俺らって絆で繋がってるのかもな。綾の思ってることが分かる気がする。」
「じゃ、じゃあさ…。私が、純平のことをどう思ってるか……分かる?」


「それは………直接会ったときに言わせて。」

「うん……多分、正解。」


「今日、俺ら会えなかったほうが良かったのかもな。」
「なによそれ!自分から誘って断ったくせに!」

終わり

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