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春日暮

出口のない廃墟のなかずっとずっと昔から
彷徨っては歩き疲れ泣き疲れ
今はもう歩くことさえやめてしまった
春の日暮れにひび割れた階段の隅
上から7段目俯いて膝抱えて
ああもうどれくらい経ったのでしょう
もう幾度も夜の繰り返し
流す涙はもったいないから泣かないの
きっともう泣き方も忘れてしまった
だって私が死んだって
あなたは泣いてくれやしないんでしょう
夢をみた次の朝はいつだって最悪の目覚めだ
顔も知らないだれかの残骸抱きしめて
記憶を喰べて育っていく
だってその一升瓶で私の頭
殴って殺してくれる人はいないから
真っ白なネグリジェの裾が揺れて
寂寥 永訣 懊悩 呻吟
水をいれたガラスの花瓶に造花を活ける
握ってくれた手の体温さえ忘れてしまったな
もう私はどこかで死んでしまったのだろう
抜け殻だけが取り残されて
もう何もかも赦してくれやしない

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