女子どもでは鍵を開けても開くことさえままならないほどの重い石の扉が守るここは牢獄。ましてや、老人が開けることなど不可能なのは言うまでもない。
くるくると指で鍵を躍らせながら、草の上を闊歩するのは、リアムその人だった。
鍵は簡単に開いた。リアムは扉に触れると、チッと舌打ちをし、思いっきり嫌そうな顔を扉にお見舞いしてから、ぐっと体重をかける。
石と石が悲鳴を挙げるような、酷い音を立てて扉は開いた。
かろうじてある上窓から光は入ってくるものの、日が昇っている時間とは思えないほどの暗さである。
リアムはきょろきょろとあたりを見回しながら進むと、各部屋から声を掛けられる。
「おい、リアム。久しいじゃねぇか。誰を出しに来た。ついでに俺も出してくれよ」
「忙しいんだよ。また今度ね、囚人」
唾を吐き捨てる囚人と、ひらひらと手を振り笑うリアム。
そんなやり取りの中で、一際おとなしく、小さくなっている老人を見つけた。