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『愛憎劇の幕、その名はカーテン。』

「メイド使っておうさま殺そうとしたのお前だよね?」
 木の茂る森。どんどん奥深くへ進むリアムに違和感を覚え始めたときに放たれた言葉。
「……何を言っているんだ」
 この先は、腹をすかせた獰猛な狼が巣食うテオの森__ルードヴィクは察した。
「あ……あ……」
 殺される、と。
 リアムは人良さそうに微笑む。
「あんな安易におうさまは殺せないよ」
「た、た、た、たすけ……」
リアムの瞳孔が開く。
「消えろ、愚図が」
 森にはふさわしくない色が、リアムを彩る。重なる肉塊を掴み、投げ捨てた。遠目に、狼の影がゆらりと揺れる。
 リアムは、口元に飛び散った血しぶきを舌で舐めとった。
「おうさまを殺していいのは、俺だけなんだから」

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