1

『愛憎劇の幕、その名はカーテン。』last

 ライオネルは肩をすくめて自分の席に座った。リアムもそれに合わせるように、ライオネルのデスクに腰掛ける。
「ルードヴィク伯爵はどうした」
 座るなと睨まれたリアムは、知らないふりをして応える。
「テオの森に置いてきた」
 ライオネルはぎゅっと顔を顰める。
「おい、あそこは狼が……」
「おうさまは知らなくていいんだよ」
 ひょいとデスクから降りたリアムは、不意に窓を閉めた。カーテンが揺れる。
「おうさま、今日はもう休もうよ。
……大丈夫、おうさまのことは、俺が殺してあげるから」
 ライオネルは睨んだ。
「もしもお前が俺を殺せなかったら__その時は、私がお前を殺して、私も死のう」
 リアムは、カーテンを完全に閉めた。

  • 『愛憎劇の幕、その名はカーテン。』
  • 最終話です。
  • お付き合いありがとうございました。
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。