「私メリーさん」
『奴』はガードを解き、再びこちらへふらふらと詰め寄って来た。
「今、あなたの、」
その『台詞』を『奴』が言い終わらないうちに、今度は自分から仕掛けることにした。
『奴』の胸のあたり目掛けて包丁を突き出しながら突進するものの、
「後ろに居るの」
『あの言葉』と同時にまたもや回避されてしまった。しかしここで後ろには意識を向けず、敢えて勢い良く前に向けて走り出した。目の前には窓がある。それに包丁を叩きつけるようにしてガラスを割り、包丁を捨てて外に飛び出した。何せ包丁を家の外で持ち歩くわけにはいかない。日本の法律はそれを是としないからだ。
飛び出した勢いを転がりながらいなし、体勢を整え、家の方を警戒する。やはり『奴』は自分を追って外に出てきた。
「もしもし、私メリーさん。」
『台詞』を聞く前に可能な限り速く走り、その場から逃げる。靴を履かずに出たのがまずかったのか、一歩一歩踏み込むたびに足裏に痛みが走る。しかし、
「今、あなたの、後ろに居るの」
『奴』はまたその『台詞』で一瞬にして距離を詰めてきた。
怖すぎませんか?
よっ夜、ねれないかも…………。