1

メリーさん3

あれから『奴』の攻撃をぎりぎりで躱しながら、夜の町を素足で逃げ回り続けていた。驚いたことに、『奴』は先程自分が投げ捨てた包丁を拾い、それで斬りかかってくるのだ。
「今、あなたの、後ろに居るの」
その『台詞』を聞くと同時に、転がるように避けてそのまま走る。足裏に感じるじっとりと気持ち悪い湿り気は冷や汗か、はたまたついに出血しだしたか。
しかし、いくら命がかかっていると言っても、体力には限界がある。一度立ち止まり、息を整えながらそこで『奴』を迎え撃つことにした。
「もしもし、私メリーさん。今、あなたの」
タイミングを合わせて自分の後ろに向けて回し蹴りを放つ。
「後ろに居るの」
『奴』は自分に向けて振るわれる蹴りを防ごうと腕を出した。しかし、その腕の出し方が以前とは若干異なるように見えた。
(ま、まずいッ!)
こちらが足を引っ込めてしまった。その直後、『奴』の手がそのままなら確かに『奴』に当たっていたであろう脚を掴むように空を切った。
慌てて距離を取る。
(何故だ……、包丁の攻撃は二撃とも腕を直撃した。逆に言えばそれらは『受けるしかなかった』攻撃なんだ。……まさか!)
今度は右手で殴るふりをして、当たる前にさっと引っ込める。やはり、この攻撃も『奴』は捕らえにきた。今度は道端に落ちていた石ころを投げると、また腕でガードした。
(なるほど。どうやらその攻撃が『人間の』、いや、恐らく『標的の体を直接使ったものの場合』はこちらを積極的に捕らえにくるが、それ以外は防御するだけなのか。避けたりはしないのか。しかし……)
それが分かったところで、今の自分にできることはひたすら逃げることだけである。

  • 都市伝説を適当に。
  • 倒し方は思い付いた。あとは完結させるだけだ。
  • 目指せ今月中の完結
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。