すべてが空虚で無機質な
人っ子ひとりいない灰色の町をゆく
すこしうすら寒く気味がわるい
まわりをきょろきょろ見まわしながら早足でゆく
するといつのまにか君があらわれて
僕を指さしてきゃらきゃら笑いながら
くるくるまわってとなりを歩く
とつぜん君のすがたが透けたような気がして
そのしろいうでをつかもうとする僕を
あざけるように君はまた笑って
するんと僕の手のなかをすりぬける
そうして微笑みながら僕のまえに立って
つまさきだちで僕にキスする
あとに残るは牛乳飴のもったりした味だけ