手応えのない日常 折れたオールで水を切る日々 死んだ目に目薬をさして 合わせたピントで何を見ようとした 何も見えやしなかった ある日大きな岩を手に入れて 僕は小舟を作った 目指す場所などないというのに 岸辺の花が何度か色を変えた頃 朝靄の水面に舟を放った 風に泳ぐ花びらは笑うだろう かけた歳月は泡沫となるだろう もういいのかい もういいだろう 変わり果てた掌をみて 咳みたいに笑った