ぺらり、紙をめくる音 僕が貸した本をずいぶん大事そうに読むんだね 難しいから読まなくてもいいって言ったのに もう残り数ページ 僕はごくごくラムネを飲んだ そろそろ読み終えるかな すると彼女がぽつりこぼした 「おもしろかった」 ぽくっと、ぽくりと、ほおを膨らませて 「きみの本、好きだなあ」 彼女だけが僕の作品を認めてくれる 残りひと口のラムネを飲み干した