太陽が乱反射したむこうの月が 私の父だと知らされたとき ひっくりかえったサメのとなりで泣いていた母を 今も覚えている 犬と猫が恋におちるように ヤクザみたいなサメと愛しあった母は 私を縛りはしなかった 人生で愛するひとが 父とサメのふたりいる母と ひとりもいない私は マーメイドの群れのなかで ひかる真珠をながめている いつか私が陸にあがったとき 月にむかって歩いて父を迎えにいこう そうして 誰かを愛する術を太陽に問うのだ