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プレゼント

知っている知っていた
「私最初から狂ってたんだ」
空虚な笑みを浮かべながらそう言う君を
見た事があった
俺はきっと気づいていたんだ
この子は普通ではないということに
気づいていながら気づいてない振りをしていた
君の為に?いや誰の為でもない俺自身の為に
今日の空は晴れている雲ひとつない
気持ち悪いくらい真っ青な空の下
今さら問うことさえ無駄な質問を彼女に投げかけるそれは多分どこかでまだこのやり取りが夢であるというありもしないオチが待っていると信じたかったのだろう
「いつからなんだ...」
彼女は淡々とそれでも内の中では何かを禍々しいモノを燃やしているような瞳で俺を見据え答えた
「最近からって言ってるじゃない全部初めからこうなる為に進んでたんだよ君が信じていた私は初めから君の中にしか居ない都合の良い幻だったの」
世界は不幸が連なり不幸の生け贄になった者達の血で出来ている
そんな論文を俺はどこかで目にした事を思い出していた
その論文にはこう記載されていた
世界に存在する幸福とは全て現実逃避が生み出す個人にとって最も都合の良い幻である

俺にとってのそれは目の前の彼女だ
俺を地獄から救い出してくれた心の底から好きになった
こんな俺でも誰かのヒーローになりたいと思えるのだとなれるのだと君は教えてくれた
君は俺が理不尽と戦う事が出来た原動力そのものだった
だけど
君という存在は俺の現実逃避が生み出した理不尽に理想という幻の衣を纏わせた死神だった
「これが私から君への最初で最後のプレゼントだよ私を好きになってくれてありがとうそして永遠に
おやすみなさい さよなら」

首に冷たい物が触れた
そして
最愛の人がくれた最初で最後のプレゼントで俺は終わった

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