傘が重なり合うバスの中
ベタベタした肌と
ムッとした汗のにおいで
息ができないくらい苦しいや
イヤホンから流れる音楽も
今日は雨音のように白黒で
不意に流れ込むシャウトが
心に悲しみを刻むから
いちばん嫌いな季節
でも今日はいつもと違う
振られてしまった…
窓ガラスを流れる街並みが
今日はとても綺麗な白黒で
バスを待つ赤い傘の君が
悲しいほど美しかったから
いちばん好きな季節
でも今日はいつもと違う
振られてしまった…
精一杯の力を込めてボタンを押した
「つぎ、とまります。」