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小説みたいなホントの話

「今日こそはあの子に想いを伝えよう」
そう決心して参加したとある飲み会。
かなり酔いが回ったあの子を送り届けるって口実で家まで二人で帰ることになった。

その日は台風が近づいていて大雨と強風吹き荒れる悪天候。
傘が壊れちゃって困ってる僕に「入る?」って君が言ってくれた。
二人きりの相合い傘。僕は思い切って伝えた。

「好き」

少し恥ずかしそうに頷く彼女を見て、僕はこの傘のように大雨だろうと槍だろうとこの子を守り抜こうと決めた。

二人の思い出はいつも大雨だった。

初めて手を繋いだあの日も
張り切ってお弁当を用意してくれたピクニックも
大好きなアーティストが来た真夏の野外ライブも

「特別な日はいつも大雨だね」って二人で笑い飛ばしてた。

あれからしばらく経った冬のあの日。
その日は季節外れの大雨だった。大雨は嫌いじゃない。でも少し嫌な予感がした。

「別れよう」

そう告げられた。予感が当たった。
一度決めたら絶対に曲げない彼女の性格を僕は知っているから、僕には頷くことしか出来なかった。

特別な日はいつも大雨。
雨か涙か分からないぐらいびしょ濡れになりながら、僕は彼女に差し出していた傘をそっと下ろした。

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