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セカオワ先生に届けたい!

本日、セカオワ先生が来校されるということで!もしかしたらセカオワ先生に呼んでもらえるかもと思い、1年ほど前に書いた、「RAIN 」をベースにした小説を投稿しようと思います。

RAIN
 世の中にはどうしても、「絶対」というものが存在する。それは時に希望であり、絶望だ。全知全能の神は存在しないのに、どうしてこんなものができてしまったのだろう。今の僕はただ、その「絶対」がどうか嘘であるようにと、叶うはずのない願いを天に叫ぶのだった。
 「魔法って、絶対にいつかは解けてしまうから、魔法と言うのかもね」
君は、ファフロツキーズの夢に飛び起きた僕にそういうのだった。君と出会った事も、一種の魔法なのかもしれないと思う。何十億分の一という確立の中で君と出会えたことは、奇跡という言葉では表し切れないから。
「だから…だから、泣いていたんでしょう?」
土砂降りの雨の中、傘を差し出すようにゆっくりと、それでいてはっきりと君の唇は言葉を転がす。
「とりあえず、顔洗ってきなよ。涙の跡がついてるよ」
 洗面所で鏡を覗くと、まだ新しい涙が、音もなく頰を伝って顎から落ちた。手に持っていたタオルに、小さな丸いしみが出来た。その様子が無様で、僕はそっと鏡から顔を背けた。
「虹って、いつかは消えるよね。だから、あれも魔法の一種だと思う」
ピアノを弾く君に、僕はそう言った。返事は期待していなかったけど、君はこちらを向かずに答えてくれた。
「本当は、この世界は魔法で溢れてるんだと思う。誰かと出会う事、涙を流す事、不安に思う事。全てが、色んな事がうまく絡み合った奇跡であり、魔法なのよ。でも、その魔法もいつかは解けてしまう。そのことに気づいた私は、幸せなのかもしれないし、ものすごく不幸なのかもしれない」
君は何事もなかったかのようにもう一度ピアノを弾きなおした。僕は君の背中にそっと呟く。
「僕は君に色んなことを教わった。そんな僕も、幸せなのか、不幸せなのか。なにも分からないね」
目を閉じると、小さな涙が静かに溢れた。
大丈夫、きっと大丈夫だ。
魔法という名の虹が消えても、涙という名の雨はいずれ花を咲かすはずだ。それだけは、魔法ではないと信じたい。

  • セカオワ先生にとどけ
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  • セカオワ先生大好きです
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