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無幻の月-契約- 前編

やけに月明かりが強い夜だった。
やはり血というものはいい、生きてる実感が湧く。
とりあえず、「これ」を処理しなくてはな...選定に不備はないはずだが見つかるのは厄介だ...
そんなことを考えていた時だ、大賢者とかいうヤツが現れたのは

「ほう、面白い話だ」
「だからどうだい?朧木 桜(オボロギ サクラ)ちゃん、キミの望みを言ってみなさい?」
はて、私は名前なんて言ったか?それにしても自分の名など久々に聞いたな
「まずは真偽だ...そのファントムというのはどこにいる」
「ありゃ、珍しいねぇそっちを聞くの?まぁいいか、ヤツなら...」
大賢者が指差したのはさっき己の浴びた血の海だった。
「...どこだ」
「そうだった、普通の人には見えないんだった!...それならためしにこれを握りしめてみて」
拳大の石が手渡された。そうしてさっきのところに目線を戻す。
「あれは遊撃手ってところかな?キミが覚醒するのを待っている」
「...なるほど、亡霊(ファントム)というだけのことはある...」
そこにいたのは翼の生えた人型の怪物だった
「ならばいいだろう、お前を信用することにする...して一つ聞きたい」
「なんだい?」
「願いというのは必ず必要なものか?」
「それはどういうことだい?」
「そのままの意味だ」
「全く不思議な子だなぁ君は。確かに私は言ったはずだよ?アイテムはあくまで願いの対価だ」
そういえばそんなことを聞いた気はする...ある種、快感とは恐ろしいものだ。
...まてよ?こいつらなら人間を相手取るより楽しいか?ふむ、試してみる価値はあるな。
「私を戦わせろ」

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