ぽつ、ぽつ、ぽつ、と雨が降る 踊るように跳ねては消える 不規則な 母の鼓動 流れてゆく血潮 排水口へ滴っていく涙 仄かに香る 湿った空 色の剥がれた薄暗い部屋で 目を閉じ 耳をすませてみると 僕は大海を進む一艘の舟 誰にも振り返られずに 揺られている