ある時ある場所にて。その少年は、友人数名と学校からの帰り道にいた。
少年がふと気付くと、道の脇に一匹の黒猫がいた。
「あ、ネコ……」
「ネコ?どこに?」
「ねこはいます?」
「ミームか?」
どうやら少年以外には見えなかったらしい。その黒猫が、とても不自然なことなのだが、ニタリと笑った。さながら、童話に書かれたチェシャ猫のように。
「……ごめん。今ちょっと急に用事ができた」
「お、また用事か」
「お前よく用事召喚するよな」
「なに、今更止めやしねーよ。さっさと行ってきな」
「うん、ありがとう。それじゃ、また明日」
少年は友人達と別れて、黒猫とは反対側に、体力不足故にときどき歩きつつも、走りに走った。そして、三方を塀に囲まれた行き止まりに行き着いた。
『クックックックックッ………。わざわざこんな始末しやすい場所に来てくれるとは、何とも親切じゃあないか、魔法使い様ヨォ?』
先程の黒猫が現れ、話しかけてきた。しかも、人間のように二本足で器用に歩きながら。
「うう、何なんだよお前ら……。確か、ファンタズムとか何とか……」
『阿呆。ファントムだ。お前らはそう呼んでるんだろう?え?』
「そうそれ。何で僕ばっかり虐めるのさ……。せっかく人間からのいじめも無くなって友達もだんだんできてきたっていうのに……」
『そんなこと知ったことか。さて……』
いつの間にか周りの塀の上には、何匹ものネコが集まっていた。
『冥土の土産に名乗ってくれよう。我こそは猫を統べる〈ケットシー〉!闇に生きる王、不可解の魔獣!これから貴様を殺す者なり!』
ケットシーが周りのネコに呼びかける。
『さあお前達!歌え、【人を殺す歌】!死肉は好きにくれてやる!』
その合図と共に、ネコ達が一斉にニャアニャアと鳴き出した。何十、何百と重なり、不快なハーモニーを生み出すその鳴き声に、少年もたまらず耳を塞ぐ。
「うう、頭痛がする……吐き気もだ……。何だよこの鳴き声……。一体何匹居るんだよ、このネコ共は」
『お前には知る必要の無いことよ!しかしこれだけは教えてやる!この歌は音の重なり合いによって特殊な周波数を生み出し、貴様らのような人間の脳味噌と肉体を直接に殺す、必殺技なのだ!魔法を使うといったところで、所詮は人間!このままくたばりやがれェッ!』
ご参加ありがとうございます。
こんな感じで大丈夫です(^^)
…にしてもこのネコの口調はいいね、好きだな。