形を命を持つものは
常にいつか滅びるという
どこでやってくるか分からない未来を抱え
生まれ落ちる
少女は夢を見た
色鮮やかに包まれ誰も傷つかない明るい世界
きっと誰もが幸せになるはずな教科書の中の幸せを具現化したような
そんな世界を
感覚は徐々に凍りついてゆく
全ての感覚は重量はおろか自身の意思からさも解き放たれてゆく
巡る記憶のページ
少女が積み上げて来たもの
切り捨てて来たもの
壊してきたもの
あらゆる柵から解放された感覚はそれらで埋め尽くされていく
満足、絶望、恐怖、後悔
少女が抱いた感情に名前は無かった
それが良いか悪いか少女自身しか知らない
冷たい
不意にそう思う
感覚が失われた今少女が感じる冷たさとは
人間たちの心であろうか
今こうして少女が伏している事自体
冷たい心を持った生き物達が居たから
誰もがそう思う
それでも誰1人として少女を認識しようとはしない
そこに最初からあった置物のように
いいや
存在そのものをこの場から彼ら彼女らの認識から
少女は除外されている
今この瞬間ここで去りゆく少女は
自分が目の前を歩く無数の生き物たちの認識から消えた事を悟った
誰にも賞賛されない気づかれさえしない
そんな孤独でいつかの未来だけに意味をもたらすかもしれない薄い薄い可能性だけを少女は自身の無限の未来を
可能性を犠牲にして手に入れた
とてつもなく割に合わない
戦果を最期の温もりと共に優しく送り出し
少女の夢は終わった