「…やぁ」
バケモノを退治した後の少年の背後から、声が聞こえた。
少年が振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。
「…大賢者さん」
「そうだよ、わたしさ。久しぶりだね、“村雨 千夜”くん」
センヤ、と呼ばれた少年に、大賢者は笑いかける。
「随分戦いに慣れてきたね」
「そうですか?」
そう答えるセンヤの服装は、昔風の軍服から学校の制服に変わった。
「…まぁ、魔法使いになってから2年くらい経ってますからね」
センヤはオルゴールの形をしたマジックアイテムをポケットの中に入れながら言った。
その様子を見ながら、ふと思い出したように大賢者は呟いた。
「…そういえば、キミの願いは何だったかな」
センヤは笑顔で答える。
「いじめてくる奴らに、同じ痛みを味わせたい」
「…まさに因果応報ね」
大賢者はボソっと言った。
「手に入れたのが、“自分が受けた痛みをそのまま相手に返す”魔法で本当によかったですよ。お陰であいつらに復讐することができたし、ファントムの退治もできるし」
本当にありがたい、とセンヤはにこりと笑う。
そうかい、と大賢者は素っ気なく答える。
「キミが後悔してないみたいで本当に良かった」
こういう願いっていうのは、途中で後悔することがよくあってね…と大賢者は苦笑する。
「…後悔なんてするわけないじゃないですか」
センヤは明るく返答した。
なら、本当に良かったわね、と大賢者は呟い
た。
そしてぽつりと一言こぼした。
「…やっぱり、人間って面白いわね」
「?」
センヤは不思議そうに大賢者の顔を見た。
「…色々な願いを抱えて生きてるからねぇ」
大賢者はセンヤの目を見据えたまま答えた。
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どうも、大賢者の代弁者です。
企画は早くも後半戦に突入しますね。
今からでも、企画への参戦は大歓迎ですよ。
あと参加するときは作品に「魔法譚」のタグを忘れずに付けてくださいね。
…さぁ、後半戦も、楽しんで参りましょう!