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魔法譚 ~ウィザードパーティ Ⅱ

「…すごい」
倒れていた少女はゆっくり上体を起こしながら呟く。
「皆さんすごいですね、チームワークとか、魔法とか、本当…」
そうかな?と周囲のコドモ達は顔を見合わせる。
「…別に、ぼくらの魔法自体は特別すごいモノじゃないと思う」
「だよね! ていうか、ここにいるメンバーって魔法使いになったことに対してネガティブな感情を持ってる子多いし…」
へ?と倒れていた少女は驚く。
「あ、ここにいるメンバーはね、魔法使いになったのは良かったんだけど、手に入れた魔法が思ってたのと違ったとか、願いを叶えてしまって魔法を持て余してしまったとか、そもそも魔法使いになったことを後悔してる子とか、色々いるんだ…」
「うちらはそういう集まりなんです」
周囲の魔法使い達がそう説明すると、倒れていた少女は、そうなんですか?と聞き返した。
「うん、そうだよ。さっきのアツマ先輩も、何年か前まであんなすごい魔法を手に入れたことを後悔してたって言うし」
「『ここで死にたくない!』って願ったのに、手に入れたのを後悔するなんて変だよねぇ」
「ちょっとエリ! それじゃ先輩に失礼でしょ」
魔法使い達の中のよさそうな会話を聞きながら、少女は自分の手元にある鞄型のマジックアイテムを見つめた。
「…あの、わたしも仲間に入って良いでしょうか?」
魔法使い達の視線が一瞬にして少女に注がれた。
「…わたしも、自分が手に入れた魔法の使い道があまり見当たらなくて…だから」
少女は魔法使い達をまっすぐ見据えた。
「だからわたしも、な…」
「あ、仲間になってもOKだよ!」
和服のような恰好をした魔法使いの言葉に、少女はぽかんとした。
「うちらの集まりは、来るもの拒まず、去るもの追わずのゆるい集まりだからね! 出会ったその時から、仲間みたいなもんだよ!」

  • 魔法譚
  • Ⅰの続き。
  • ここでの「パーティ」は「集まり」って感じの意味
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