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魔法譚 ~エンドレスライフ、エンドレスジャーニィ Ⅰ

すっかり日も暮れた駅前、バスロータリーにしろ駅の構内にしろ、どこもサラリーマンやOLでごった返していた。
騒がしい人混みを尻目に、私は駅の入り口へとまっすぐ向かっていた、が。
「…」
背後から気配を感じる。
振り向くと、自分の後方約20メートルのところに、まるで油絵の具を塗り重ねたような、としか形容しようがない”何か”がいた。
見るからに高さは2メートルほどあってかなり目立つが、道行く人々の目には見えていないように見えた。
…面倒な。
私は心の中でそう呟くと、人気のない路地裏へと足早に向かった。
そして、路地の奥の方まで入ったところで、私は手提げ鞄の中から革製のマントのようなマジックアイテムを取り出し、勢いよく羽織った。
マントを羽織ると、いつも着ているスーツはオレンジ色のワンピースに変わり、頭には魔女が被っているような帽子が現れた。
そして手には、巨大なかぎ爪のついたグローブ。
「…いるわね」
ちら、とさっき来た方を見やると、そこにはさっき駅前でみたバケモノがたたずんでいた。
少しの間それを見つめたのち、私は路地の奥へと走り出した。
もちろんバケモノも、見た目に見合わぬスピードで私を追いかけだした。
「…フッ!」
10メートルほど走ったところで、私はコンクリの地面を蹴り上げ、文字通り飛翔した。
そのまま猛禽のように加速し、時々進行方向を曲げながら徐々にバケモノとの距離を離していく。
「!"#$%&'()=~|~{}*?_>+*`{|~=!!」
バケモノもバケモノで、意味の分からない喚き声をあげながら、私に追い付こうと飛行、加速していく。
「…面倒な奴」
ちょっとだけ舌打ちしたのち、私は丁度目の前に迫ったビルの外壁ギリギリのところで減速した。
そして思いっきり壁を蹴っ飛ばして方向転換すると、そのまま両手のかぎ爪でバケモノに斬りかかった。
「!!」
突然自分に向かってきた魔法使いに思わずひるんだバケモノは、為す術もなくわたしのかぎ爪に斬り裂かれた。

  • 魔法譚
  • 最後のエンディングとして、と作った。
  • 期間から数分はみ出ちゃうけど許してね。
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