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ファヴァー魔法図書館 #35

『キャンバスナイト』

ガラシャは起床したとき、謎の違和感に襲われた。
ユリの様子がおかしいのである。
しかし、ガラシャにはその本質を読み取る事は出来ない。
ガラシャはまだ9歳なのだから。

ユリは突然ガラシャにプレゼントをした。
内容は、ただひとつの真っ白なキャンバスだった。
ガラシャにこれを渡す時ユリは言った。
「心を見て、心で描きなさい。」
ガラシャからしたら意味のわからない言葉だった。
心を見るとは、心で描くとはどういう事なのか。
しかも一体どういう意図で渡されたのかもわからない。

取り敢えずガラシャは誰も居ないところへ行って考えて見ることにした。
そしてガラシャは『地上の果て』へ向かった。
ガラシャはずっと座っていた。
ずっと座っていた。
座っていた。
気がついたらガラシャの隣に一人が座っていた。
漆黒のスーツを着た何かが。
それは突然話し始めた。
「ねぇ、君は何を目指しているの?
僕にはわからないくらい君の心は散らかっている。
そんなに散らかっているとなくし物をしてしまうよ。
少し片付けようか、顔を少し近ずけて。
僕の目を見ずに、中空を見るんだ。」

ガラシャは疲れきっていた。
もう何が何でも良かった。
ガラシャの脳内に思い浮かんだのは、
襖から一度見た夜空とひょうという声だった。

ガラシャが正気を取り戻した時、何かはもういなかった。
キャンバスは相変わらず真っ白だった。
でも最初とは明らかに違くみえた。

視覚など所詮ただの感情の写し鏡。
本来映さねばならない物よりも、
感情というフィルターの方が近いでしょうに。

To be continued #36 『グリモワール』

P.S.世の中にはたくさんの景色があります。
でも、僕ら人間って一生かかってもその景色の1%も見ることができないんですよね。
人間の一生に対して世界って広すぎます。
何だかこういう連想ゲーム楽しいです笑

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  • 最初はついていけなかった世界観でしたが(笑)、最近急激に引き込まれつつあります。
    詩人(?)と記憶喪失の女の子、ほんとに魅力的なコンビですね。
    ガラシャが何者なのかまだイマイチわかりませんが…


    次章「グリモワール」、シリーズの大事なポイントになりそうで楽しみです!

  • 引き込まれてくれましたか、とっても嬉しいです♪
    余りにも超展開で読んでくれる人がどんどん離れてるんじゃないかと心配していた時にすごい励まされました。

    実は......ユリは詩人ではないんです。
    まぁ、そのうちわかります。
    ガラシャの正体は......どうでしょう。
    まぁ魅力的なコンビと言ってもらえて多分彼女たちも嬉しい事でしょう笑
    『グリモワール』については......まぁ見ればわかります、頑張って下さい。

    レスありがとうございました♪