ドーナツ屋の片隅で
ふざけあっている
恋人たちもやが
淋しい大人になってゆく
二人の跡がくっきり
亜麻色のソファに
老夫婦が座って
薄いコーヒーすすってる
Ah, 明日に目をつぶって
きみのうなじを味わうだけの
この恋を愉しみましょう
この店もいつからか
さびれてしまった
長い列に二人で
並んだのもの遠いあの日
Ah, 心にぽかり空いた穴
躰をくぐらせ、浮き輪にして
この夜を泳ぎましょう…
Ah, ドーナツ屋の片隅で
誰もが忘れ去った夏の片隅で
ひどく愛し合いましょう