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死神ちゃん

「ねぇねぇ知ってる?」
透き通ったよく響く声が僕に語りかけてくる
いつもの出来事
「視界って簡単に曇るんだよ」
振り向きかけの横目で僕を一瞥した後彼女は背中を向けた次の瞬間
そして空を駆けた
日が沈みかけの校舎4階音楽室での出来事
不思議な事だ
でもそんな気がしていた
今日の朝のいつものおはよう
授業中に見た隣の君の目の色
音楽室に呼ばれた時
音楽室の窓を開けて風に吹かれて暴れるカーテンで見え隠れしていた君
なんだかその全ての君が今日そうすると予言していたように思えた
だけど僕は動かなかった
何となく君がそう望んでいた気がしたから
そしていつから僕はそんなに君の思い通り
いや
僕が勝手に思っている君の望み通りに動くようになったのだろうか


「ねぇねぇ知ってる?」
そのセリフを最初に聞いたのは今年の春だったか
入学式終わり知らない女の子に話しかけられて緊張で喋れない動けなかった僕の耳元でそう囁くように君は言って
こう続けたのだ
「死ぬのってどんな気分なの?」

僕の一生の中で君だけが僕を誰よりも知っている人
だったと思う
今も最期も

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