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霧の魔法譚 #7

「じゃあイツキ君、パパっとやっちゃって」
「へいへい」
大賢者に促され、イツキは面倒くさそうにポケットからミニカーを取り出す。彼が魔法を発動させると手に持っていたミニカーがみるみるうちに大きくなり、やがて通常の車と同じサイズにまで巨大化した。
「これがイツキさんの魔法……」
「おう、すごいだろ?」
シオンが驚いていると、イツキが後部座席のドアを開けてくれる。中にはしっかりとした座席がしつらえており、先ほどまでミニカーだったとは思えない。
イツキのマジックアイテムは小さなミニカー。プルバック式のこの玩具は魔法を発動すると同時に巨大化し、おまけに内部構造も運転できるように改変されるため乗ることができるようになる。
大賢者は慣れた手つきで助手席へと腰を下ろした。
「イツキも今はこんなんだけど、昔はかわいいとこあったんだよねぇ。空飛ぶ車でドライブしたい! って純粋というかなんというか」
「うるさい。ミニカーを運転したいという小さな子供が持つにしては真っ当な夢だろ。てか我が物顔で乗り込むな大賢者」
「シオンにはドアまで開けてあげてたのに私には雑な扱いすぎない?」
言いあいながらしっかりとシートベルトを締め、イツキもため息を百回くらい吐きたそうな顔をしながら運転席へと乗り込んだ。
さきほどは仲が悪いのだろうかと二人を心配していたシオンだったが、どうやら彼らにとってはこれが通常運転らしいと気づいてからは何も言わなくなった。きっと旧知の仲というか腐れ縁というか、とにかく険悪な関係ではなさそうなのを見て取って安心する。いまでは軽口をたたきあう二人をほほえましく見ていた。
「シオン、シートベルトは締めたか? ……って何笑ってるのさ」
「いえ、すみません。では早速出発しましょうか」

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#7更新です。
スタンプやレスありがとうございます。遅筆な私の励みとなっております……。そろそろ期末レポートも終わりそうなのでこっちの作業に集中できそうです。もうしばしお付き合いをば。

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