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霧の魔法譚 #8 1/2

「そういえばイツキさんって忙しくないんですか?」
空飛ぶ車が陸を離れて数分後、シオンはイツキに思っていた疑問をぶつける。話を聞いたところイツキは今回の作戦の中心人物のはずだ。大賢者のお手伝いなんかしていていいのだろうか。
「……ああそれはな、たしかに今回のファントム殲滅作戦ではリーダーなんかやってるけどそれは建前だけで、実際にはほかにたくさん動いてくれてる人がいるから大丈夫ってわけ。お恥ずかしながらな」
「最年長だからってリーダーになったはいいけど、大勢を指揮する頭も威力のでっかい魔法も持ち合わせてないっていうんでお留守番喰らうはずだったの、このイツキ君は」
イツキの答えに大賢者が補足してくれる。リーダーというのは名前だけでイツキが指揮系統を握っているわけではないらしい。
「だからまあ、現場を離れてこうして車運転していても誰からも咎められないし、俺が何しようと向こうに影響はなし。実質的リーダーがうまくやってくれるさ」
「……なるほど」

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