0

夏だった

蝉が鳴いていた、野良猫が静かにこちらを見ていた、カナブンが死んでいた、レッドブルの空き缶が側溝に転がった、手のひらサイズの液晶で世界を見ていた、ふと左の眼球が白昼のコンクリートの上に落ちた、慌てて拾って元のように押し込んだ、汗をハンカチで拭う、日焼け止めの匂いにあてられてほんの少し酔った、信号が青に変わった、一瞬君と目が合った。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。