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赤い蝶が舞う

「困ったなぁ」
教室の扉を開けるとわざとらしく話しかけて欲しそうな雰囲気を醸し出しつつ
横目でこちらを見ている初瀬がいた
ちなみに僕の席は彼女の斜め前だ
それもあって朝はだいたい僕は後ろを向きっぱなしなんだがどうやら今日はHRまで座れなそうだ
「どしたの朝から」
「おっ、おーはー」
「何今気づいたフリしてんだ入室直後から気づいてたろ」
「ありゃま気づいてたのか流石だね」
初瀬の机に紙が置いてあった
この時期に紙を置いて悩む
何となく悩みの種が見えたが一応聞いてみる
「で、朝からどしたの」
「んーとねコレさ」
差し出された紙を見て僕の推測が間違いで無いことが確認された
入部届けと書かれている
「なるほどね、それで悩んでると」
「そーなんだよ何かなーい?」
「僕に聞くなよ部活何かまともにやって来なかったような奴だぞ」
実際中学時代は帰宅部だ一応文化研究部なる場所に席は置いていたが活動に参加した覚えがないのでなんの部活かと聞かれても困る
「初瀬そういうのサッと決めてそうなタイプだけどな」
「おやおや、決めつけは良くないぞ」
「中学の時何やってたの?」
「・・・・・」
ややあってその返事は返ってきた
「ご想像にお任せする」
なんとなく彼女の顔が
それを踏むなと言っている気がした

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