『サルヴェイジ』
ある朝のこと、
「ねぇ、ガラシャくん。」
と、ユリはガラシャに向って話しかけた。
そして、
「君の記憶を取り戻す準備は整った。これから私は君の望む通りに事を運ぶ事にする。」
と、続けた。
ガラシャは余りにも突然のことに唖然とした。
ガラシャは記憶を取り戻したい、それは揺るぎない願いであり意思である。
それと同時にガラシャは本能的にユリとの別れを覚っていた。
その時、齢九つのアタマは『揺れた』。
そしてひとつの答えを出した。
「ユリ、私もう怖くない。記憶を取り戻したい!」
ユリはゆっくりと頷いた。
そして話し始めた。
「それじゃぁ、これから君の記憶をサルヴェイジするけど聞いてね。
君の記憶は私の魔法で引き上げるんだけど、ひとつ難点がある。
サルヴェイジと言っても思い出させる対象を見分ける事が出来ないから、結果的に君はこれまでの記憶を全て取り戻すことになる。過去の些細な会話とか、これまで食べたパンの枚数さえも思い出すことになるけどいいね?」
ガラシャの返事は決まっていた。
「言ったでしょう、もう怖くないって。」
ユリは笑顔でガラシャの前にしゃがみ耳元で囁いた。
「何があっても動揺してはだめ。だめだからね。」
ユリは立って、グリモワールの詠唱を初めた。
部屋は眩い光に包まれた。
To be continued #38 『ノスタルジイ』
P.S.#36なんてなかった、いいね。
#36は暗号化されたグリモワールの内容を書こうと思って投稿したんですが、いかんせん乗りませんでした笑
なんとなくここで内容を変更してやってしまうのが嫌だったので#36はなかったことにしました。ってけーねが言ってた。
物語はここからクライマックス。
......だと思う。
おお…
いつかこうなることはわかっていたとは云え、ちょっとトリハダ立ちました。
敢えて伝説のように抜け落ちた回が呪文の中身って云うのも、なんだか素敵です(笑)
残念だけどいつかは完結しなければいけない物語ですね。締めくくりも楽しみにしています。
レスありです
いやぁ、ここまで感情移入してもらえるとは書いてる側としても嬉しいです。
でも大丈夫ですよ、『魔法都市ミコト』は終わってもこの子達はメインキャラクターですから。