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青春

君と駅までの帰り道

照れ隠しに出したスマホ

こんがらがって付いてきたイヤホン

「もうすぐ駅だよ、終わりだよ」

ささやくような夏のぬくい風

遠くで響く踏切のカンカン

ほどけないイヤホンに苦戦する私

そんな私を見てふんわり笑った君

そっとイヤホンを持って

私の前で少しずつほどく細い指

これがほどけたら

本当におしまいだよ

分かっているのに一言も話せない

だんだんイヤホンのもじゃもじゃが解けて

私のモヤモヤは広がってく

「そういえばさ、」

耳にかかった君の声

「僕に話したいことって、何?」

口を開いても声が出ない

耳をくすぐるぬくい風

視界の隅でほんのり染まった紫の空

夕日に照らされた君の顔

イヤホンが私の手に渡って

「んじゃ」

駅の改札へと向かう後ろ姿

「・・・待って」

「・・・ん?」


私は何を話すんだろう

きっと上手く話せるさ

夕日にさよならを告げて

私は君の元へ、いざ。

  • 帰って来てしまいました
  • 片想い
  • 半分実話。
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