大概人が持っている物は輝いて見える
私以外の世界は全て眩しい
葉山 健也
彼はきっと私と同じ世界の人間だと思う
そうあって欲しい
「ねぇ、葉山は誰かを羨ましいと思う事ある?」
「恥ずかし話俺は皆んなが羨ましいよ初瀬が居なきゃ3年間ぼっち確定だったしな感謝してるよ」
葉山は畏まってそう言った
「いやいや、私だって危うくぼっちコースだったんだよここ(泉西)に来たの私だけだもん」
「そうなんだ、まぁでも初瀬ならどこに行っても大丈夫なタイプだよ」
違うそれは私でなく私が作った私だ
全ては私が私を嫌いが故に作り出した偽物に過ぎない
「そんな事ないよ へへ」
笑っている私はどんな顔をしているだろう
綺麗な笑顔だろうか不自然でないだろうか
私はありとあらゆる事を気にして生きている
それ故に損をして来ている事を自覚しながら
私は恐怖の殻に包まれている
「じゃ俺そろそろ帰るけど初瀬はどうする?」
「委員会の仕事あるから今日は残るよ」
「そっかじゃあまた明日な」
「うん、では少年また明日も学校来いよコノヤロー」
「あぁ 少年は明日もきっちり登校してやるよコノヤロー」
笑顔で私のおふざけに付き合ってくれる彼を見て最近思う事がある
多分彼は笑顔でいる事が増えたはずだと
これは勘で出来る事なら当たって欲しくない
彼の殻を破ったもしくはヒビを入れたのが私であるという、いや正しくは偽物の私が彼の殻を破ったもしくは破る助けになったという事実
廊下を歩く彼に夕日が差し込んでいる
今の葉山は私にとって少し眩しい、と思う