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霧の魔法譚 #9 2/2

「とはいってもファントム討伐は私とシオンでやるから、イツキは心配しなくてもいい。イツキ……もといイツキの魔法が必要なのは、この車がそのまま足場になるからだ」
「それって大賢者が空中浮遊するのは駄目なのか?」
「いつもならそれで十分なんだけどね。今回に限って言えばそれは無理。っていうのも今回は私もでっかい魔法を使わないといけないの。空中浮遊魔法を常時発動させながらシオンを支えて、それで大規模魔法を発動させるのはいくら私でも無理って話よ」
てっきりシオンだけが魔法を使うのだとばかり思っていたが、違うのか。大賢者も魔法を使わないといけないらしい。
それにしてもあの大賢者が大きな魔法を使わなければいけない事態って、いったい何なのだろう。
「それに帰りのテレポートもしなきゃいけないからね。さすがに短時間で魔法を連続発動させると私の身が持たないわけ。ま、精神力の消耗で貧血みたいになってそのまま海にドボン! ……ってことも十分考えられるので、今回はイツキに頼んだの。ひとまずこれでおーけぃ?」
「大賢者も魔法を使うのか」
「そう。ああでも今回のメインはあくまでシオンで、私はその補佐というか準備用の魔法だけど」
「なるほど……」
大賢者はもう一口紅茶を飲んでからその先を続けた。
「んでこの先に何があるのかなんだけど。……これは実際に見てもらったほうが早いかな~」
「実際にって」
続く限りの大海原を試しに見渡してみるが、ファントムどころか人も鳥も何一ついない。いやいや、まだ目的地に到着していないじゃないか。
勿体ぶってないでさっさと教えろと言おうと口を開きかけようとしたが、それより先に大賢者は虚空を指さして軽く微笑んだ。
「ここだ、ここ。イツキ、シオン、目的地に到着したよ」

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#9更新です。遅くなりました。

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