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霧の魔法譚 #10 2/3

「私は今回の大攻勢で、こんな風に君たちに干渉しようなんて思ってなかった。こんな風っていうのは君たちに会うこと然り、一緒にファントムを倒しに行くことなんて論外。それはなぜなら、私が君たちの魔法を操る様を見たいからであって、つまるところ君たちがファントムと戦っているのを外野から観察したかったからだ。だから今回も、ファントムがどれだけ攻めてこようが、魔法使いたちが如何な劣勢に立たされようが、私は無視を決め込むつもりだった。それこそ君たちがいくら殺されようが、ね」
幾何学模様は次々に生成されては圧縮され、他と組み合わさっては複雑な図形を作り上げていく。足元で次々と起こる変化に、しかし大賢者は目もくれない。
「けれど今回の大攻勢で状況は変わってしまった。それは君たちを助けなければいけない理由ができたというより、ファントムどもを倒さなければならない理由ができたと言った方がいい」
「ファントムを倒さなければならない理由?」
「そう。イツキはもちろん知ってると思うけど、大攻勢の時のファントムは知能と呼べるものがない。奴らはプログラマイズされたように動き、移動、目の前に敵がいたら攻撃といった単純な動きしかできない。できなかった。今までは。理由はここにある」
「えっと……つまり敵のすべての個体に知性化の兆しがあると?」
「まあそういうことになるね。もっとも、現時点において向こうで戦っている3万のファントムすべてが知性的な行動を見せたという情報は入ってきてない。知性化しているのは”こっち”のファントムだけだ」
「”こっち”……ってまさか」

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