初めて見るのがこれっていうのはかわいそうだよな、と大賢者は思う。実は現在魔法使いたちが戦っているだろう海の向こうの3万のファントム軍の構成のほとんどは、イツキたちが普段慣れ親しんでいる獣型のファントムなのだ。初めてみたファントム軍が武骨な鎧武者みたいな人型じゃなかったら、もう少し彼の精神も安定していたかもしれない。
普段見慣れているファントムでも、3万も寄り集まった光景だったらなかなかに地獄だろうが。
(……まあ君の出番はもう暫くないからゆっくりしていてくれたまえ)
心の中で優しく語りかけてから、大賢者はバックミラーの方に目を移す。
さてと。
鏡写しの少女は大賢者の視線を受け止めると、神妙に頷いた。
私の出番もそろそろ終わり。魔法陣を発動させれば、あとはこの子に託すことになる。
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遅くなりました(毎回言ってる気がする)、#12更新です。
もっと早く更新できれば良いのですが、こういうので書ききった例がないので……。もしかしたらまた時間かかるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。