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佐々木の世界 【佐々木、夢を見る。】

周りがもやもやしている。何かに包まれているようだ。
ここはどこだろう。私はこんな所で何をしている?
「佐々木さーん…」
どこかで声が聞こえる。誰の声?
だんだん視界が晴れていく。
もやがとれて、声の主が現れる、はずなのに。
そこには誰もいない。
「ここは、どこ…?」
私の声は、ふんわりと宙を舞い、やがて溶けて消えた。
足を踏み出した。何故か進めない。
もがいてもがいて、進もうとするのに、一向に前に進めない。
何が起きている?
私はこんな所で何をしている?
もう何も分からない。
頭も心なしかぼんやりしてきたようだ。
「佐々木さーん…」
また誰かが私を呼んでいる。
誰なの?誰?

佐々木、ふと考えた。
いつもの私もこんな感じなのだろうか。
ふわふわしていて、これと言った特徴もなく、言われた事をこなし、頼まれた事を受ける。そうして生きて来た。
いつもの私は、みんながいたからこその私だったのか。
「佐々木さん」と呼んでくれる人がいたから、私は佐々木だったのか。
私は今、誰なのだろう…

佐々木、夢を見た。
そして、佐々木、自分探しの旅を始める。

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